#プロのひと工夫

スパイスは3つだけ。印度カリー子さん直伝・基本のチキンカレー

2023.5.31
手づくりするのはちょっと難しそうな印象のあるスパイスカレー。でも、基本のスパイス3種類+身近な食材で、意外と簡単につくれるんです!今回はスパイス料理研究家の印度カリー子さんに、初心者が手始めにつくるのにぴったりなスパイスカレーのレシピを教わりました。

実は気楽なスパイスカレー。炒め物感覚で作れます!

「スパイスカレーの魅力は、スパイスの香り、素材のうま味をダイレクトに感じられること。ルウでつくるカレーは、だしのうま味を重視した煮込み料理の感覚に近いですが、スパイスカレーは炒め料理の感覚に近い味わいです」と、印度カリー子さんは言います。 スパイスカレーは、辛さの度合いを自由に調節できる点も大きな魅力。「辛みをつけずにつくることもできますし、家族の好みやそのときの気分で辛さの度合いを決められるのはうれしいですよね」。スパイスカレーによく使われるスパイスは15種類くらいあるそうですが、そのうちカレーの香りを大きく構成しているのは3種類だそう。「今回ご紹介する『基本のチキンカレー』レシピは、3つのスパイスがあればOK。初心者の方でもつくりやすいレシピを考案したので、ぜひトライしてみてくださいね」(印度カリー子さん)。

カレーの香りが生まれる3つのスパイスとは

今回登場する3つのスパイスは、コリアンダー(写真左)、ターメリック(写真中央)、クミン(写真右)。「コリアンダーは、レモンやミントのような爽やかな香り。一方、ターメリックは土のような香りで、深みを与えてくれます。そして、これらの中間にあたるのがクミンで、エスニック感の強い香りが特徴です。この3つのスパイスを1:1:1で合わせることで、基本のカレーの香りが完成します」(印度カリー子さん)。これらのスパイスに辛みの要素はないため、辛みをつけたいときは最後にチリペッパーを加えるといいそう。辛さの度合いは、チリペッパーの量で調節できます。印度カリー子さんが教えてくれた3つのポイントを守って、さっそくつくってみませんか?

3つのスパイスで作る!「基本のチキンカレー」

おいしく仕上げる3つのポイント

①玉ねぎは飴色を通り越して、こげ茶色になるまでよく炒める
②ヨーグルトはよく混ぜてなめらかにしてから入れる
③味の調整は、最後に塩で行う

〇材料(4人分)

鶏もも肉 400g
玉ねぎ 1個(200g)
トマト 1個(200g)
にんにく 1かけ分
しょうが 1かけ分
水 100ml
プレーンヨーグルト 100g 
(加糖タイプのヨーグルトを使った場合は、ほんのりと甘さがつきます)

サラダ油 大さじ1
塩 小さじ1

ターメリック 小さじ1
クミンパウダー 小さじ1
コリアンダーパウダー 小さじ1

★辛みをつけたい場合 お好みで
チリペッパー 小さじ1/2
 
ご飯  適量

※にんにくとしょうがは、市販のチューブタイプでも可(チューブタイプの場合は各小さじ1)。
※チリペッパーは、一味唐辛子でも可。

〇作り方

1.玉ねぎ、にんにく、しょうがをみじん切りにする。鶏肉はひと口大に、トマトはざく切りにする。(みじん切りは、チョッパーで行うのがおすすめ)
2.フライパンに油を引いて、にんにく、しょうが、玉ねぎを中強火でこげ茶色になるまで炒める。(こげつきやすいフライパンの場合は少し油を多めにひく。

ポイント①

・玉ねぎは飴色ではなく、”こげ茶色“になるまでしっかりと炒めることで、カレーの味に深みやコクが出る。(玉ねぎの色が佃煮やプリンのカラメルソース、黒糖かりんとうのような色になるまでよく炒めること)
・玉ねぎが飴色になってきた段階で、水分を抜くようにヘラで押しつぶしながら炒めると完成時に自然なとろみがつく。
・時間がないときは、玉ねぎのみじん切りを電子レンジで少し加熱して水分を抜いてから炒める。あるいは、市販の炒め玉ねぎを、数分炒める。

3.トマトを加えて、全体がペースト状になるまで炒める。焦げつきやすいので少し火力を弱めてOK。
4.弱火にして3種類のスパイスと塩を加えて混ぜ合わせる。(ここまでで、「スパイスカレーの素」が完成。「スパイスカレーの素」は、冷凍ストックしておけば、作りたいときにすぐにカレーを作ることができる)
5.鶏もも肉、水、スプーンでかきまぜてなめらかにしたヨーグルトを加えて混ぜ合わせる。沸騰したらフタをして弱火で15分ほど蒸し煮にする。焦げつきやすいフライパンであれば時折かき混ぜる。

ポイント②

ヨーグルトは、よくかき混ぜてなめらかにしてから入れるとダマにならず全体によくなじむ。

6.味見をし、必要であれば最後に塩をひとつまみ程度(分量外)加えて、味を調えて完成。

ポイント③

味見をして「何か物足りない」「味が決まらない」と感じた時は塩不足。少しずつ加えて混ぜ合わせていくと味が落ち着き、香りを感じやすくなる。このとき、スパイスを足さないように注意(スパイス自体に味はないため、スパイスを足しても味は変わらない)。

7.辛みをつけたいときは、チリペッパーを加える。
8.器にご飯を盛り、カレーをよそって完成。

アレンジ次第で、無限に広がるおいしさ

スパイスの香りと具材のうま味が相まって、絶妙な味わいを織りなす「基本のチキンカレー」。きっと、「こんなに簡単に本格的なスパイスカレーが作れてしまうなんて!」と、うれしい驚きと発見があるでしょう。「『基本のチキンカレー』に慣れたら、カルダモン、シナモンなどのスパイスを追加して香りの違いを楽しむのもいいですね。鶏もも肉の代わりに豚ひき肉や鶏ひき肉を入れてキーマカレーにしたり、ヨーグルトの代わりにココナッツミルクを入れてさらにエスニック感をアップさせたり……とアレンジ次第で、味わいは無限に広がりますよ」(印度カリー子さん)。ここは、奥深きスパイスカレーの世界への入り口。まずはそのおいしさを気軽に味わってみませんか?

インタビューした人
スパイス料理研究家
タレント 印度カリー子さん

スパイス初心者のための専門店 香林館(株)代表取締役。「スパイスカレーをおうちでもっと手軽に」をモットーに、初心者のためのオリジナルスパイスセットの開発・販売をする他、レシピ本執筆、大手企業と商品開発・マーケティング、コンサルティングなど幅広く活動。著書累計発行部数は38万部超。全16作。2021年3月東京大学大学院農学生命科学研究科 修了。JAPAN MENSA会員。1996年11月生まれ、仙台出身。

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