体を温める食材・調理法を工夫して、寒さ知らずの冬を過ごしましょう!

常に血行をよくしておくこと。それが冬の元気のもとに

 冬は寒さでどうしても体が冷えがちです。特に女性は、冷えを訴える人が多くみられます。寒さで冷えて血行が悪くなると、肩こりや頭痛、腰痛などの不快な症状が現れたり、健康にも害を及ぼすようになります。ですから、冬は体を冷やさないように注意し、常に血行をよくしておくことを心がけましょう。そのためには防寒対策も必要ですが、日常の食事でも、体を内から温めてくれる食材を積極的に摂ったり、調理法を工夫したりすることも大切です。
 体は血と筋肉が温めてくれます。そのためには、エネルギーをつくる三大栄養素である糖質・たんぱく質・脂質をバランスよく摂ることが必要ですが、糖質や脂質は摂り方に要注意です。太っている人は、一見寒さ知らずのようですが、実は筋肉が多い人に比べて体が冷えやすいのです。ですから、ダイエットをして体の脂肪を落とすことで冷えが解消されることもあります。
 その他には、鉄分・マグネシウム・亜鉛もエネルギーを作るには欠かせないもので、体の機能を調整してくれます。また、ビタミンB群、特に造血ビタミンであるB6やB12、葉酸、ミネラル等も積極的に摂りたい栄養素です。

3食きちんと食べることで、体の温かさが持続する

 体を温める食材を積極的に摂っても、その持続時間は限られています。ですから、まずは食事を3食きちんと摂ることが大切です。中でも炭水化物であるご飯は、毎食必ず摂りたいものです。糖質制限されている方もいらっしゃると思いますが、多く摂る必要はありません。これが基本的なエネルギーのもとになります。少ないご飯でも満腹感を得られるように冬は熱々のお粥にすれば、体も温まって一石二鳥ですね。
 たんぱく質の摂取は、冷えにくい体づくりのために必要です。高たんぱく低カロリーを基本にしてください。理想的な栄養バランスがある食材は大豆です。大豆や大豆製品を毎食取り入れるといいでしょう。肉類ならヘルシーな鶏ささ身肉、牛赤身肉、豚ヒレ肉、レバーなどはおすすめです。
 ビタミン類の補給は野菜で。たんぱく質と併せて摂ることで、バランスのよい1皿ができますし、2~3種類を組み合わせることでお互いの栄養の吸収を高め合うことができます。特に根菜類は、体を内から温める食材のひとつですから、積極的に取り入れたいものです。酢とうまく組み合わせると吸収率もアップします。ミネラル補給には海藻類がおすすめ。温かい汁物に仕立てれば冬にはピッタリの1品になります。わかめも味噌汁だけでなく、中華風スープにしたり、コンソメスープに入れてもおいしくいただけます。
 こうした食材を主食・副食を3度の食事で少しずつでも摂るように心がければ、常に体が温まっている状態になり、自ずと寒さに強い体質に変わっていくのです。冬の鍋物は、必要な栄養をバランスよく摂ることができ、食材の栄養が染み出たスープで雑炊にすれば、体内から体を温めてくれる効果もありますね。

体の熱を逃さないための暮らし方の工夫

 寒い日にはどうしても部屋を暖かくして過ごしたいと思いますが、体の熱を逃さないためには、部屋を暖めすぎるよりも、肌にフィットしたもので防寒するのが一番です。特にひじやひざ、くるぶしは冷やさないように気をつけましょう。キッチンは家の中でも特に冷える場所ですので、足元は靴下を2枚重ねたり、タイツや防寒肌着を着用する等、体が冷えないような対策をするようにしてください。
 部屋を暖かくしすぎると、どうしても喉が渇きやすくなり、つい冷たいものを飲んでしまいがちです。冬場の水分補給は温かいもので。またアルコールは体を冷やしてしまうので、寝酒は熱燗でも厳禁です。寝る前は半身浴をゆっくりとして、芯から体を温め、温かい飲み物を飲んで寝てしまうのがよいでしょう。温かい豆乳にはちみつで甘みをつけたものなどはおすすめです。
 体は一度冷えてしまうと、温かくなるまでに時間がかかります。ですから、健康のために生野菜を欠かさず食べるという人も、冬は摂取を控えたり、毎日外を走っているという人は、寒い日は無理に外で走る必要はありません。
 冷えを感じるのは、体が〝寒い〟と訴えているシグナルです。冬を元気に過ごすには、日々の生活習慣も大切です。ぜひ、こうした自分の感覚を敏感に感じ取って、ときには食事を見直したり、日頃の暮らしぶりを振り返ったりしながら、元気に冬を過ごしてください。

「いきいき通信」vol.90より転載