正しい予防法と免疫力アップで、風邪知らずの冬を過ごしましょう!

冬に風邪をひきやすいのは、寒くて乾燥した気候が一因

 〝風邪をひく〟とは、多くの場合体内に侵入した風邪ウィルスに感染することです。冬に風が流行るのは、気温が低く乾燥した気候が、ウィルスが活発に増えるには好環境だからです。また、風が吹くことでウィルスも広範囲に広がりやすくなっています。加えて、私たちの体も、気候のせいで気道の粘膜が乾燥しがちになります。本来は湿っていることで防御力を保っている粘膜の機能が弱まってしまうため、どうしても感染しやすくなっています。寒いと鼻水が出てくることもありますが、鼻水は糊状のためウィルスがくっつきやすく、それをすすり上げることで、体内にウィルスを取り込んでしまうこともあります。
 寒くなると風邪をひきやすくなるのには、こんな背景があるのです。

風邪の症状を左右するのは、自分自身の免疫力

 風邪ウィルスは気をつけていても、空気中から体内に入り込む機会は多々あります。それなのに、風邪をひく人・ひかない人、ひいても軽くすむ人・悪化する人等さまざまです。
 それは、これまでにどれだけのウィルスに感染して、それに対して自分の体が免疫力を備えているかによるのです。
 子供は風邪をひくと、よく高熱を出しますが、それはさまざまなウィルスに対して無抵抗だからです。大人でも、これまでに感染したことがなければ同じような状況になります。しかし、ウィルスに対しての免疫をつくるための機能を働かせてできた免疫は記録として体の中に残り、免疫力として備わっていくのです。
 風邪ウィルスといっても、その種類は数多くあります。子供のうちに病気がちで、よく風邪をひいていたという人も、いろいろなウィルスに感染してきたことで免疫の経験値が高くなっていますので、大人になったら風邪をあまりひかないということもあります。要は、風邪ウィルスに感染しなければ、風邪をひかないのです。

ウィルスの侵入を防ぐこと。それがまずは第一歩

 ウィルスの侵入を防ぐにはまず、外出時にはマスクの着用をおすすめします。
 マスクは、口や鼻からウィルスの侵入をブロックすることができるのと同時に、粘膜の感想を防ぐことで、防御力を維持することができます。マスクをかけたとき、顔との隙間ができると、そこからウィルスが侵入してしまいますので、顔にフィットしたものを選びましょう。また、室内では、暖房で空気が乾燥しすぎないように、加湿機等で湿度を保つようにしましょう。
 また、うがいもウィルスを洗い流すには有効な手段ですが、口や鼻から入ったウィルスは15分ほどで体内に入り込んでしまいますので、近くで風邪をひいた人がくしゃみや咳をしたときなどは、時間をおかずにうがいすることをおすすめします。
 手洗いもよくいわれていますが、手についたウィルスは、口にしなければ体内に入ることはありません。むしろ、固形石鹸を使うことや、ひねって回すタイプの蛇口、タオルの共用によって、せっかくの手洗いも無駄になってしまうことがあります。また、アルコール消毒も、手荒れするほどしすぎると、かえって手のカサカサにウィルスが入りこんでしまうこともあります。手を洗浄した後は、保湿を忘れずにすることが大切です。
 日常の生活の中で、自分ができそうなことから無理のない範囲で予防を心がけてください。

免疫力を上げる食事や日常生活の工夫

 風邪に負けない体づくりのためには、自らが備えている免疫力を日頃の生活の中で高めておくことも大切です。そのポイントは、体内の活性酸素を減らすことです。活性酸素は体をサビつかせ、ダメージを与えるものですが、活性酸素が増えると抵抗力が落ちてしまうのです。
 食生活では、ビタミン類、特にA・C・Eをしっかり摂るようにしましょう。また、鶏肉や緑茶に含まれるアミノ酸により体内で合成されるグルタチオンという抗酸化因子には、活性酸素を抑える働きがありますので、アミノ酸の摂取も大切です。
 また、過労や睡眠不足、過度の運動も活性酸素を増やす一因になります。しっかり休むことや、運動も軽く走って気分がよくなる程度にしておく等、自分の生活を見直してみることも必要です。冷えると体の血流が悪くなり、代謝も低下しますので、体の中から温まる工夫や、水分をしっかり摂って体内に十分、水分がいきわたるように心がけてください。
 日頃の風邪予防の方法や、生活習慣を見直して、風邪に負けずに元気な冬を過ごしてください。

「いきいき通信」vol.89より転載