特集 1 なるほど! 健康レポート

歯と口のケアを忘れずに!
口内環境を整えよう

口内トラブルの原因は?

一日の中でマスクを着けている時間が増えて、ふとした時に自分の口のニオイが気になることはありませんか?あるいは、他の人と対面で接する機会が減ったことで、歯や口の中のケアが少しおろそかになっている方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、口内環境をケアするためのポイントをご紹介します。

口臭の原因のひとつが、口内に残った食べ物のカスです。歯と歯の間などにはさまった食べ物のカスが細菌によって分解・発酵されるときに発生するガスが、嫌なニオイの元になります。これらの細菌のかたまりが歯垢となり、時間とともに硬化して歯石へと変化する過程で、むし歯や歯周病といった口内のトラブルを引き起こします。また、舌苔(ぜったい)と呼ばれる舌の表面の白っぽい付着物(口内の剥がれ落ちた細胞など)もニオイの原因となります。

歯周病は、口内の細菌によって歯ぐきや歯のまわりの骨などの組織が壊れてしまう病気です。

こうした口内環境の悪化を抑えてくれるのが、唾液の働きです。唾液には、食事中に食べ物のカスや細菌を洗い流す働きや、口内の粘膜を保護する働きのほか、消化の促進という役割もあります。また、食事をしていないときでも、唾液の抗菌作用によって細菌の繁殖をある程度抑えることが可能です。このように、唾液の分泌は健やかな口内環境を保つ上でも欠かせませんが、年齢を重ねるにつれて唾液の分泌量も少しずつ減っていくといわれています。

口内を清潔に保つとともに、唾液の分泌を促しましょう

健やかな口内環境を保つためには、日頃から歯と口のケアを心がけることが大切です。

口内を清潔に保って、細菌の繁殖を防ぎましょう

歯磨きは毎食後に行う(食べたら磨く)のがベストです。食後に歯磨きの時間が取れなかった日でも、夜寝る前にしっかり磨くことで、唾液量の少ない就寝中に口内の雑菌の繁殖を抑えることができます。

歯と歯の間の汚れや、たまった食べ物のカスを取り除くために、デンタルフロス(掃除用の細い糸)や歯間ブラシを使うのもよいでしょう。

むし歯や歯痛が無くても、定期的に歯科健診を受けて、口内環境を診てもらいましょう。

食事中はよくかんで、唾液の分泌を促しましょう

食事の際は早食いをせずに、食べ物をよくかんで、唾液の分泌を増やしましょう。よくかむことで食べ物も細かくなり、唾液中の消化酵素であるアミラーゼが消化を助けます。

やわらかい物ばかり食べていると、かむ力が衰えてしまいます。やわらかく加工・調理された食品だけでなく、根菜類や食物繊維の多い食材、海藻類など、かみ応えのある食べ物も食事に取り入れて、かむ力を鍛えましょう。

日頃のストレスや不規則な生活は、自律神経に影響を及ぼして、唾液の分泌を低下させることがあります。十分に睡眠をとり、規則正しい生活を送りましょう。

口内環境の改善は、歯周病や、糖尿病・心臓病といった歯周病と関連があると考えられる疾患の予防など、体全体の健康にもつながります。爽やかで清潔な口内をキープして、健やかな毎日を過ごしたいですね。

歯と口のケア Q&A

Q:歯磨き粉に含まれている「フッ素」って何?
A:フッ素(フッ化物)には、歯の表面にあるエナメル質を修復したり、歯の質を強化したりする働きがあります。フッ素入りの歯磨き粉や洗口液を使うのもいいでしょう。

Q:“よくかむ”って、どれくらいかめばいいの?
A:目安としては、ひと口30回です。ひと口10~20回程度という方も多いのでは?よくかむことで、素材そのものの味もよくわかるようになります。