睡眠の役割は、日中の活動で蓄積した「体」と「脳」の疲労を回復させることにあります。
日本人は平均的に睡眠時間が不足しがちですが、睡眠不足は日中のQOL(生活の質)を低下させる原因になります。集中力や判断力を向上させ、日中の活動をより効率的に行うためには、夜間にしっかり睡眠をとることが大切です。
気温が高い夏は、日中上がり過ぎた体温を下げるために余分なエネルギーを使っています。夜の睡眠で十分に体力を回復しておかないと、日中の活動が低下したり、食欲不振に陥ったりして、いわゆる夏バテを起こしてしまうのです。
夏の睡眠不足の原因のひとつとして、日照時間が長いということが挙げられます。
日照時間が長いと、仕事を切り上げるきっかけを逃し、夜遅くまで活動しがちになります。そして、翌朝の日の出も早いので、とかく睡眠時間は短くなりがちです。
こんな夏だからこそ、意識して早起きし、活動時間を早い方向にシフトすることが大切です。そうすれば、早い時間に眠気が訪れるようになり、「早寝・早起き」のリズムの中で、十分な睡眠時間がとれるような生活習慣を作ることができます。
夏は今一度、睡眠ということを考え直し、自分の生活習慣を省みるのに、いい季節かもしれません。
子供の夏休みの生活目標ではありませんが、「早寝・早起き」を心がけることは、深くて安らかな睡眠を得るために重要なポイントです。
十分な睡眠がとれれば、朝は早めに快適な目覚めが得られます。ゆっくり落ち着いて朝食を食べることで、日中の活動のエネルギーを確保することができますから、夏バテを防ぐことにもなります。
スポーツをする人は比較的よい睡眠をとっています。それにならって、日中の適度な運動も大切です。日頃運動不足だと感じている人は、ウォーキングや軽いジョギングをするなど、体を動かすことも意識してください。運動することは、生活習慣病の予防にも役立ちますが、睡眠の改善にもつながるのです。
睡眠は「暗くて静か」な環境でするものです。寝苦しい夏だからと窓を開けて寝る人もいますが、これがかえって外からの「音と光」で快眠を阻害することも考えられます。もちろん、室内の温度や湿度が高すぎてもしっかり眠ることはできません。入眠は深部体温が下がる時に起きるのが理想です。エアコンや扇風機のタイマーをうまく活用して、過剰にならない範囲で入眠しやすい室内環境を整えるとよいでしょう。
パソコン等が発する〝青白光〟は生体リズムに影響し、睡眠の質を低下させることがあります。寝る前の1時間位は、音楽を聴いたりして、ゆったりと過ごすような生活習慣をつけることをおすすめします。
睡眠は体の疲労を回復させるだけでなく、脳の疲労回復にも重要です。短い睡眠が続くと、ホルモンバランス、精神バランスに悪影響を及ぼし、さらに、水分バランスにも影響して夏には熱中症を引き起こす一因にもなります。
もし日中、眠気を感じたり、電車の中でうたた寝してしまったりするようであれば、睡眠不足と考えてください。それをそのままにしておくと、日中の活動と睡眠のリズムが崩れて、夜になっても眠くない、日中に眠気に悩まされるという最悪のパターンに陥ってしまいます。
1日24時間というリズムの中で、日中の活発な活動と、良質な睡眠をしっかりと位置づけ、元気に夏を乗り切りましょう。
「いきいき通信」vol.74より転載