初期の段階ではあまり自覚症状がないにもかかわらず、進行すると網膜症や腎症、神経障害といった重い病気を引き起こすこともある糖尿病。厚生労働省によれば(平成24年「国民健康・栄養調査」)、糖尿病が強く疑われる人、その可能性が否定できない人の数を合わせると約2,050万人に上ることがわかっています。
糖尿病の診断や予防、治療に大きくかかわっているのが「血糖値」です。血糖値とは、その名のとおり、血液中のブドウ糖の量を示す数字のこと。食事をすると、糖質が体内で分解されて、血液の中に含まれるブドウ糖の量(血糖値)が増加します。このとき、健康な状態であれば、すい臓からインスリンというホルモンが適切に分泌され、血液中に含まれるブドウ糖が肝臓や筋肉などの臓器に取り込まれることで、血糖値は下がります。
ところが、何らかの理由によってインスリンの働きが悪くなったり、インスリン自体の量が不足するようになると、食事の後、かなりの時間がたっても血糖値がなかなか下がらない状態が続くことがあります。このように、血糖値の適切なコントロールができなくなると、やがて糖尿病へと進行する可能性も高くなるのです。
糖尿病診断の指標となる血糖値。定期的な検査が大切です。
血糖値は食後ゆるやかに上昇して、時間とともに空腹時の血糖値に戻るのが一般的ですが、食後2時間が過ぎても血糖値が高い場合は、特に注意が必要とされています。この状態は「食後高血糖」あるいは「かくれ糖尿病」とも呼ばれ、糖尿病の初期症状であることが多いのです。空腹時の血糖値には特に異常が見られないことから、見逃してしまうことも。そのため、職場や各自治体などで行われる健康診断では、採血によって空腹時の血糖値を調べるだけでなく、「ヘモグロビンA1c」という数値(過去の平均的な血糖値の状態を示す)を測定して糖尿病の疑いがないかを診断するケースが多いようです。
糖尿病を予防するためには、日々の食生活での心がけに加え、適度な運動習慣を続けることが大切です。
肥満や運動不足も糖尿病を引き起こす原因のひとつとなります。